【和菓子技術講座】4-2 関西風桜餅

和菓子
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5月最後の講座は「桜餅」です。
桜餅と言えば、関西と関東で形が違うことで有名ですね。

私は関西出身なので道明寺の桜餅に慣れ親しんでいます。
教科書では「関西風桜餅」と記載されているのですが、“風”って何なのでしょうね(笑)
あくまでも関西のものに近づけたものというニュアンスでしょうか?
“桜餅(関西)” とか “関西流桜餅” の方が個人的には好きな表現です。

話が逸れましたが、この関西の桜餅に使われるのが「道明寺粉」です。
道明寺粉は蒸したもち米を乾燥させたもので、「ほしいい」とも呼ばれます。
一度蒸してあるので、デンプンが一度糊化(α化)しています。
もちろん乾燥により老化(β化)しているのですが、生米とは異なり消化可能です。
そのため昔は携帯食として食べられていました。
現在で言う、水を入れると食べられる非常食のご飯という感じですね。
ちなみに“道明寺”という名前は、大阪の藤井寺市にある「道明寺」で作られたため、この名前が付いています。

桜餅で一番の肝となるのが「桜の葉」ですね。
近所のスーパーでは売られていないため、富澤商店で購入してきました。(さすがの品ぞろえです!)
桜の葉の塩漬けはオオシマサクラの葉が使われるのですが、緑色のものと茶色いものがあります。
緑色の物は浅漬け(1日)で、冷凍で出回ります。一方で茶色いものは半年~1年間塩漬けされており、日持ちがするため常温で出回っています。
それぞれ風味も異なり、前者は桜のクマリン様の香りと共にグリーンな香りが強いという特徴があり、塩漬けの期間が長いほどグリーンな香りが弱まり、食べやすい風味になります。
私は長年、桜餅の葉は食べる物だと思っていたのですが、友人に葉を取って食べていると聞いて驚いた経験があります。
確かに香りを移す役割が主ですし、緑色の葉は食べづらいそうなので、食べ方は好みですね。
ちなみに私は緑の物は見たことが無いのですが、皆さんはあるでしょうか?

道明寺の着色は、食様色素で赤く色づけた水を道明寺粉に吸わせることで行います。
この時、目標とする桜色よりもやや赤く水を着色すると、イメージに近い色を付けることができます。

今回も吸水した道明寺粉を蒸し上げたのですが、少し柔らかくなりすぎてしまい、包餡が大変でした^^;
このように水分の多い餅生地の場合、餡は少し硬めに炊いた方が良いそうです。
というのも、包餡してから時間が経つと生地の水分が餡に移るため、元々餡が柔らかいと食べるタイミングでは餡の水分が多くなりすぎるからです。

桜の葉には当然裏表があるのですが、裏面が外側になるように包みます。
その理由は、裏面の方が葉脈がくっきりと見えて見栄えが良いということや乾燥しづらいからです。
さらにもう一つ理由があります。この理由を知ったとき、作り手の思いやりって素敵だなあと感じました。
それは、葉の表面(おもてめん)はツルツルしているため、生地に触れる側にすることで、葉を食べない人が外しやすくなるというものです。
和菓子に限らず、日本料理は食べる人のことを思いやって見えない(見えづらい)部分にも工夫を施していますね。
今は作ることが目的になっている私ですが、食べてもらう人のことを思って作れる心の余裕が欲しいですね(^^)

今回作った桜餅は、生地の水分が少し過剰でした。
私の持っている他のレシピだと、道明寺粉に対する水の量がもっと少なかったので、教科書はそもそも柔らかめのレシピ構成なのか…
それとも蒸すときに生地が水面に近すぎたのが原因か…
もう季節外れにはなってしまいましたが、桜の葉はまだあるので何度か挑戦して適切な水分量を見つけたいと思います。

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